日本代表で本田が担っていた役割
5月30日に豊田スタジアムで行われる国際親善試合ブルガリア戦。この試合のメンバー発表で多くの人に驚きを与えたのがFC東京の東慶悟の代表選出だった。柏レイソルでゴールを量産していた工藤壮人とは対照的に「なぜ東?」という疑問が浮かんだ人も少なくないだろう。
ただ、ザックジャパンのトップ下に求められる役割を考えていくと、東が選ばれたのは納得がいく。なぜなら、東のプレースタイルはザック好みだからだ。
「私のチームのトップ下は本田だ」
この言葉通り、ザッケローニ監督は本田圭佑に絶対的な信頼を寄せている。本田の最大の特長は圧倒的なボールキープにある。「どんなボールでも収めてくれる」と長谷部誠が全幅の信頼を寄せるように、本田は少々難しいボールでもDFとの間に身体を入れながらキープする。ボールの置きどころもよく、ちょっとのことでも奪われない。
攻撃面では他の選手が“前向き”の状態でパスを受けられる交換がある。バイタルエリア――DFラインとボランチの間にできるスペースで本田がボールを受ければ、相手は寄せざるを得ない。
ここでフリーにすれば好きなようにやられてしまう。本田がマークを引きつけることで、左サイドから中に入ってくる香川真司などがフリーで、しかも前を向いて受けられるようになる。
守備面においても本田のキープが果たす役割は大きい。本田がキープしている間にDFラインを押し上げられるためコンパクトな状態を保つことができる。DFからFWまでの距離を35メートルになれば、味方同士が近い状態になるのでプレッシングがかけやすい。これはザックジャパンの高い位置からのディフェンスの生命線と言っていい。