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Jリーグ 12年前

激論!! 20年目のサポーター論 ~サッカーにとってサポーターとはどんな存在なのか?~(前編)

サポーターとは何であろうか。どういう人々なのか、クラブによって違いはあるのか、そもそもサポーターという言葉の意味は? Jリーグ発足から20年が経過し、独自の発展を遂げた“サポーター”について、コールリーダー、海外サポーターに詳しいジャーナリスト、海外で選手歴のある指導者を招き、討論する。

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka , editorial staff

【後編はこちらから】 | 【サッカー批評issue61】掲載

パネリスト

植田朝日:FC東京ファン。代表応援歴も20年以上。発煙筒経験あり。スタジアムでは裸になったことはない。
亘崇詞:指導者。ASエルフェン狭山FC コーチ。1991年にアルゼンチンに渡り、ボカ・ジュニアーズとプロ契約を結ぶ。
豊川亮太:ジェフ千葉ファン。コールリーダー。発煙筒経験あり。かつてはスタジアムで裸になったことも。
木崎伸也:ジャーナリスト。2002年にオランダへ渡り、翌年から2009年までドイツを拠点に活動。
五十嵐亘:横浜F・マリノスファン。コールリーダーを務めたことも。発煙筒経験なし。スタジアムでは裸になったことはない。
中島大輔:ジャーナリスト。2005年、スコットランドへ渡り、4年間中村俊輔を中心に取材。

司会:植田路生(本誌)
構成:金子雄太郎(徹マガ編集部)、澤山大輔(徹マガ編集部)

南米では選手がファンに育てられている

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亘崇史氏【写真:編集部】

――今回は応援スタイルについて、国内や海外のサポーター事情に詳しい方をお呼びいたしました。日本と海外ではもちろん違うところがあると思いますので、そういった違いについて忌憚ないご意見をいただければと思います。まず亘さん、Jリーグのサポーターを見ていてどうお考えですか?

亘崇詞(以下、亘) 応援は海外の歌だったりスタイルを取り入れて真似からスタートしましたよね。当時は深いところで真似できていなかったし、「真似する必要なんかないのにな」と思っていました。だけどどの世界でも、真似から良い物を作り出さないとうまくいかない。例えばゴール裏も「危ないところ」という偏見がありますよね? だけど、日本じゃそういう雰囲気は絶対作れないですよ。

木崎伸也(以下、木崎) 国民性も文化も違いますよね。

 アルゼンチンは「ゴール裏には行かない方がいい」というイメージはまだまだありますが、ボカ・ジュニアーズもマス席のような席を設けて、海外の人も来られるような場所を作ったりと工夫しています。それでも、ゴール裏は特別な場所です。

 海外のゴール裏では、サッカーを利用して生活している人がいます。彼らが応援に行くためのお金を捻出しているんです。もしかしたら、おかしな方法でお金を作っている人がいるのかもしれませんけど(笑)。トヨタカップに行く前、『インチャ』という応援団の人たちが選手に対して「応援してやるんだから、金を集めてこい」って言っているのを見たことがあります。そういう集団であることは確かなんです。年間に40人くらい死亡者を出したということで解体させられましたが、最も大きい『ラドーセ』は解散させられなかった。クラブも、彼らのおかげで助かっていた部分がありますから。

――単純に問題が起きたから排除、というわけにいかないんですね。

 そう。だからチームは興行権というか商品を売っていい権利を与えたりしています。もしかしたら、未だに無料で試合を見られる権利を持っているのかもしれません。なかなかその辺はタッチしづらいし、日本でそういう存在は認められないと思います。でも、怖い集団なのに、女性や子供に対しては一定のルールを持っています。やる人だけでなく、応援する人も含めて全部ファミリーだという感覚がある。

 あと、僕がユースの時にアルゼンチンに行って、びっくりしたのがブーイング。アルゼンチンのサッカーって、今でもそうですがなかなかサイドチェンジをしません。僕は「ワイパーのように散らした方が、ほめられるんじゃないか」と思ってそれをやっていたら、4万人くらいから罵声が飛ぶんです。

 向こうでは一つひとつのプレーに対して「Bien(ビエン、いいぞ)」とか「このクソガキ! まだまだお前はダメだ」とか言われるんです。前座試合ですら、すでに一体感がある。「ファンがいちいちプレーについて口を出すべきではない」という考え方もあるかもしれませんが、南米ではファンに育てられている感じがあります。

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