なぜJリーグ会場で将棋が?
「将棋でサッカーはもっと面白くなる!」
4月27日、横浜Fマリノス対ヴァンフォーレ甲府戦が行われた日産スタジアムでは、こんなキャッチフレーズとともに、中村俊輔や中澤佑二ら11選手の描かれた告知ポスターが掲出されていた。
これは、今回の「サッカー×将棋特別イベント」開催のために、月刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載中の漫画『ナリキン!』の作者・鈴木大四郎先生が描き下ろししたものだ。日産スタジアムのコンコースの一角には、ユニフォームを着用したサポーターが試合前に将棋を指すという、なんとも不思議な光景が広がっていた。
Jリーグのクラブで実現した「将棋」とのコラボイベント。
きっかけは、同クラブの波戸康広アンバサダーがアマ初段の腕前を持つ将棋好きだったことに始まっている。クラブのオフシャルマガジンで日本将棋連盟棋士・佐藤和俊五段と対談を行ったことで意気投合し、将棋界との交流がスタート。
プロ棋士にはサッカーファンも多く、お互いに普及育成の取り組み活動をしていることなどからも親交が深まり、今回のイベントが実現する運びとなった。
イベント会場には、田中寅彦九段、深浦康市九段、野月浩貴七段、広瀬章人七段、西尾明六段、佐藤和俊五段、北尾まどか女流初段といったプロ棋士の面々が登場。親子での将棋体験コーナーや棋士による指導対局が行われ、幼児や女性も北尾まどか女流初段が考案した「どうぶつしょうぎ」で気軽に遊ぶなど、老若男女が楽しめる場所として賑わいを見せていた。
会場には『ナリキン!』の複製原画展や単行本の試し読みコーナーも設置されていた。鈴木先生による力作の選手ポスターを記念撮影していくサポーターはとても多く、なかには「販売して欲しい」と言った声も。この盛況ぶりには編集担当者も手応えがあったようで、「これをきっかけに他のJリーグクラブともどんどんコラボしていきたいですね」と今後の展開に意欲的な姿勢を見せていた。