コウトの手帳には、浦和レッズの選手の名も
──ただ、ポルトガルのクラブと日本人選手の代理人とのコネクションが他のヨーロッパの国のクラブと比べて弱いような気がします。
「間違いないよ。君の言うとおりだ。それはこれから僕のような職(SD)に就いている者が努力しなきゃいけない問題だね。でも、日本人選手には大きな可能性を感じているよ」
──率直に言って、今シーズンのブラガの目標はどこに置いていますか?
「まず、国内リーグはトップ4に入ること。ELは可能なら決勝トーナメントには進出したい。最大の目標は、国内のカップ戦のタイトル(ポルトガル杯、リーガ杯)を獲ること。何かしらのタイトルを獲ることがこのクラブにさらに自信を与えることになるからね」
1時間を超す長丁場のインタビューが終わるや否やスーツからシステム手帳と名刺を取り出し、SDの顔に戻ったフェルナンド・コウト。早速、質問の中にもあった「今、オファーを出している日本人選手」の名前が書かれたシステム手帳を私に見せ、矢継ぎ早にプレーの特徴などを事細かに質問してきた。そこには現在、浦和レッズでプレーするMFの選手の名前が書かれていたのだが……。
その後、自分の連絡先が書かれた名刺を渡して「今、日本でプレーしている若手で将来有望だと思う選手をリストアップしてメールで送ってくれないか」と頼んできた真剣な眼差しは、「日本人選手に興味を持っている」と言った言葉が嘘ではないことを裏付けるものだった。さらに「メールを送ってこなかったらこっちから催促の電話をするから」と念押ししたブラガSDの口調は現役時代同様、仕事に対する責任感の強さを垣間見せるに十分だった。
【了】
初出:欧州サッカー批評4
プロフィール
フェルナンド・コウト
1969年、ポルトガル北部エスピーニョ出身。元ポルトガル代表。1988年にポルトでプロデビュー。1989年、ポルトガルU‐20代表としてワールドユースで優勝した“黄金世代”の1人。その後、パルマ、バルセロナ、ラツィオなどでプレーし、17ものタイトルを獲得した。A代表では2002年W杯、EURO2004で主将としてチームを牽引し、通算で110試合に出場。2008年に現役を引退し、2010年よりブラガのSDを務めている。