【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue53】掲載
常に攻撃的に戦うことが、勝利への一番の近道
――以前、ACL準々決勝のホームでの全北戦(4-3)後、記者会見の際に、「セレッソの試合を見るときには、心臓の検査をしてください(笑)」という話をされていましたが、点を取られても打ち勝つというのが、監督の理想でしょうか?
「ただ負けないためだけのサッカーというのは、まったく面白みがない。逆に攻撃的にいく、勝ちにこだわる、前にいく、ゴールを目指してプレーする、これがサッカーのエッセンスであり、一番面白い部分。だから、常にゴールを求めるし、勝利を求めるための一番の近道が、そこにある。あとは数字上の話になるが、シーズンが終わって上位に顔を出すチームは、基本的には勝利数が多い。いい成績を残すには、必然的に勝利を目指すべきだということも当然言えます」
――チーム全体で点を取るためには、多少ディフェンスのスペースに穴が空いても、リスクを伴って攻めるのでしょうか?
「そのためには、CBの2人に相当スピードがないと、それは要求できない。我々がまさしくそう。茂庭、上本大海、藤本康太といった選手たちは、みんなスピードがあるので、しっかりそのカバーができます。それがあるから、両SBを攻撃的に行かせることができるのです」
――試合中、例えば、3シャドーが一方のサイドに寄って、相手のDFをひきつけて、逆サイドにうまくスペースを作るシーンをよく見かけます。これはチームのメカニズムとして教えていることですか? それとも選手の自由な発想のもとでやっているのですか?
「選手たちの発想を重要視してやっています。セレッソでは、短い距離、狭いスペースでのパス交換というのを、スタイル的に好むシャドーの選手が多く、例えば、乾と(香川)真司は、常に遠すぎず、近すぎず、いい距離感でプレーしていました。オフェンスというのは、戦術を教えればすべて解決するかというと、まったくそういうことはなく、戦術的な最低限の約束事はあるのですが、あとは選手たちの自由な発想に委ねるのが一番大事なのではないかと、私は常に思います。
昨年(2010年)のメンバーでいうと、前の3シャドーと1トップというのは、シーズンの終盤には、ほとんどオートマチックと言えるくらいに、お互いの動き、ボールの動かし方、走り方など、みんながお互いをよく理解していました。
さらには、後ろのマルチネス、アマラウといったボランチ、SB、チーム全体が昨年の終盤はやるべきことが分かっていました。だからこそ、ああいう結果(3位)が残せたと思います。それが、今季のように選手の入れ替わりがあると、また一からやり直さなければいけない。昨年終盤のチームは、言ってみればバルセロナに近いような状態。ああいう形で、チームが同じ選手を継続していけるならば、理想の形になると思います」